高山植物と植生復元の取組み


 2500m〜3000mの高さの山並みが連なる立山をはじめとした北アルプスは、高山植物の宝庫でもあります。高山植物は高山帯にだけ生育するのではなく、亜高山帯においても、風当たりの強い尾根筋、あるいは雪が遅くまで融け残る雪田、雪渓の周辺においても生育します。
 高山植物は大昔の寒冷な時代には平地にも生育していましたが、気候が温暖化するに従って高山帯に島のように切り離され、長い年月の中で、独自の性質を持った固有の種類になったものも少なくありません。
 こうした高山植物が抱えている問題には、盗掘のほかに、登山者による踏み荒らしがあります。写真撮影や景色を見るために登山道を踏み外したり、登山道が掘られている場所やぬかるんだ場所では、道を迂回するため高山植物が踏み付けられ、裸地となってしまいます。立山では、こうした問題に対処するため、木道などの登山道整備をすすめており、踏み外しをなくすとともに周辺の植生復元を実施しています。