シデコブシは日本の固有種で、岐阜県、愛知県、三重県のごく限られた地域の低地・低湿地にしか自生していません。つまり、地球上ではこの地域にしか生育していないということです。しかも、現在は三重県では現状不明の状態になっています。シデコブシは生きた化石とも呼ばれ、過去の気候やその他の環境条件の変化に耐えて生き残った遺存種です。このように遺存種とよばれる仲間は地域的な分布が限られているものが多く、固有種になっているものが数多くあります。この愛知、岐阜、三重と静岡の一部には、全国にも例のない独特の固有植物が自生します。これらは伊勢湾岸要素植物群と呼ばれて、シデコブシもそのひとつにあげられます。 シデコブシの花は美しく、3月から4月の春の開花時期には、ピンク色や白色に紅色をおびた、花弁の多い花が目をひきます。庭木など園芸用としても利用されています。自生地では道路工事、ゴルフ場、商業地などのため土地造成や埋め立てが行われ、シデコブシの生育が危機的な状況にあります。1996年、「日本シデコブシを守る会」から「シデコブシの自生地」が刊行され、シデコブシの分布、自生地の地形、地質、保護、自生地状況などが紹介されました。それを機に、各地域でのそれぞれの保全活動が組織化し、動き出しています。2005年開催予定の愛知万博の会場予定地「海上の森」にもシデコブシの自生地があります。 |