脊椎動物門(哺乳綱/ネコ目/クマ科)
九州地方のツキノワグマ
Ursus thibetanus japonicus

九州
絶滅のおそれのある
地域個体群(LP)
 ツキノワグマはその名のとおり胸に白く「月の輪」模様のある黒色のクマです。日本では北海道のヒグマに次いで大きな陸上哺乳類です。一般にどう猛なイメージがあり、全国各地にこのクマと遭遇し戦ったとの武勇伝が後を絶ちません。しかし、ツキノワグマは決してどう猛ではなく、ふだんは木の実や昆虫類などを食べる雑食性で、性格もおとなしい生き物です。たまたま、山野で人とはち合わせたために、自己防衛のために戦うにすぎません。
 日本では本州、四国、九州に生息し、国内の推定個体数は1万頭といわれています。一部地域では開発による生息域の縮小から人里に出没し、害獣扱いされている地域もあります。しかし、各地でその生息域は分断され小さくなり、とくに下北半島、紀伊半島、東中国地方、西中国地方、四国、九州の個体群は絶滅の恐れのある地域個体群とされています。
 九州地方の個体群は1930年代以降確実な生息記録がなく、絶滅したものと考えられていましたが、1987年11月に大分県緒方町の傾山にて1頭のオスが捕獲されました。また、1987〜1988年に捕獲地周辺で行われた調査によると、本種の痕跡が発見されましたが、確実な生息の証拠は得られていません。なお、大分・宮崎・熊本県では1989年から10年間捕獲禁止の措置がとられています。野生生物は種として絶滅にいたる以前に、地域個体群としての絶滅を防ぐことが重要です。

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