一言で言ってしまえば“水辺にすむ鳥”ですが、フライウェイネットワークではラムサール条約の水鳥の定義にある鳥たちの保護に取り組んでいます。

ラムサール条約(1971年締結時):水鳥とは、生態学的に湿地に依存している鳥類をいう。
アビ目、カイツブリ目、ペリカン目(ペリカン、ウ)、コウノトリ目(サギ、コウノトリ、トキ、フラミンゴ)、ガンカモ目(ガン、カモ、ハクチョウ)、ツル目、クイナ目(オオバン、クイナ)、チドリ目(シギ、チドリ、カモメ、アジサシ)を含む。




動物の中には季節によって移動をするものがいます。鳥もまた例外ではなく、日本で見られる鳥の多くも季節によって移動をしています。移動する距離は、山地と平地、北海道と本州、日本と海外などさまざまですが、このうち日本と海外とを移動するもののことを「渡り鳥」と呼び、特に夏に日本を訪れる鳥を「夏鳥」、冬に訪れる鳥を「冬鳥」、渡りの途中で日本に立ち寄る鳥を「旅鳥」と呼んでいます。また、フライウエイネットワークでは、渡りをする水鳥のことを「渡り性水鳥」と呼んでいます。

国境を越えて日本にやってくる鳥たちの例を挙げましょう。

     


どうして鳥たちは渡るのか?
寒い時期には暖かい場所へ、雨の降らない時期には雨の多い場所へ、子育てをする時期にはエサが豊富な場所へ、様々な理由から鳥たちは渡りをします。日本で見られる渡り鳥は寒さを避けるためと子育てのために渡りをする鳥たちです。

たとえば、日本で見られる水鳥たちの多くは夏の間シベリアで子供を育て、寒い冬を、日本や東南アジア、オーストラリアなどで過ごします。冬には凍りついてしまうシベリアも、夏の間は広大な湿原地帯が広がり、水鳥たちのエサになる植物や小動物が大量に発生するのです。

渡りのメカニズム
渡り鳥はなぜ、正確に、遠く離れた目的地にたどり着くことができるのでしょう。これまでに行われた研究から、渡り鳥が方向を知るにはいくつかの仕組みがあることが分かってきています。

よく知られている方法としては、天体コンパスがあります。

太陽を見て方向を知る:太陽コンパス
 昼間に渡りをする鳥は、太陽と自分のいる位置を比較して、渡りの方向を判定することができます。

星を見て方向を知る:星コンパス
 夜間に渡りをする鳥は、北極星とその周辺にある星座を手がかりに、渡りの方向を判定することができます。

曇りの日のように、天体コンパスが使えない時もあります。鳥たちは、一つだけの方法によらず、天体コンパス、風、地磁気、音波、地形など様々な方法を総動員して、渡りの方向を判定します。



渡り性水鳥は、北の繁殖地から南の越冬地まで、渡りの中継地を含め、点々と連なる生息地のすべてを必要とします。これらの場所は湿原や干潟などの湿地ですが、人間による土地開発のために世界の湿地は急速に失われつつあり、渡り性水鳥たちは深刻な危機に直面しているのです。


日本全国の湿地面積の変化

グラフ;国土地理院資料より作成

この原因としては、湿地の宅地化、農耕地化等が挙げられます。

2001年6月に出版されたバードライフ・インターナショナルのアジア版鳥類レッドデータブック(Threatened Birds of Asia ※別途解説あり)によれば湿地を生息地とする野鳥の絶滅危惧種は、森林性の野鳥に次いで二番目に多いことが判明しており、湿地がなくては生きていくことができない渡り性水鳥の多くの種に絶滅の危機が迫っているのです。

ある国の湿地が失われることは、その国だけの問題ではありません。
国境を越えたネットワークで湿地、そして渡り性水鳥を保護していく必要があります。
そこで、渡り性水鳥を保護するための、国境を越えたネットワーク=フライウェイネットワークが必要となるわけです。