1.東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(渡り性水鳥保全連携協力事業、略称:EAAFパートナーシップ)とは

 東アジア・オーストラリア地域において、渡り鳥にとって重要な生息地の保全を国際的に進めていく、新しい国際連携協力事業です。

 我が国の渡り鳥の保護は、これまで二国間条約・協定(米国・豪州・ロシア・中国)に基づく二国間協力のほか、多国間協力の取組として「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略(1996-2006)」に基づき、渡り鳥の重要生息地の国際的ネットワークの構築等の取組が行われてきました。
 これらの取組をさらに発展させるため、2006年11月に「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」(渡り性水鳥保全連携協力事業、Partnership for the East Asian Australasian Flyway、以下「EAAFパートナーシップ」と略す)が発足しました。


1)EAAFパートナーシップの目的
 本パートナーシップは、東アジア・オーストラリア地域において、渡り鳥の保全に関わる様々な主体の国際的な連携・協力のための枠組みを提供することにより、
・ 渡り鳥の重要生息地の国際的なネットワークを構築すること
・ 渡り鳥の重要生息地の普及啓発、そして保全活動を促進すること
を目的としており、東アジア・オーストラリア地域における生物多様性の保全、そして地域住民の利益につながるものです。


2)EAAFパートナーシップ発足の経緯




  1996年に日本・環境庁(現環境省)とオーストラリア・自然環境庁(現環境遺産省)、国際湿地保全連合(Wetlands International、以下WIと略す)が主導して、「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」(第T期:1996-2000、第U期:2001-2006)(以下、水鳥保全戦略と略す)を策定しました。この戦略に基づき、シギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の渡り鳥の生息地の国際的なネットワークが構築され、ネットワーク参加地間の情報交換、人的交流、調査研究等の活動を行ってきました。

  一方、日本政府とオーストラリア政府、そしてWIは、2002年に南アフリカ・ヨハネスブルグにおいて国連主催により104ヵ国の首脳が出席して開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD、通称:ヨハネスブルグ・サミット)に際して、国際連携協力事業(WSSDタイプ2パートナーシップ・イニシアティブ)として、渡り鳥の生息地の保全に関するプロジェクトを登録しました。

  そして2006年、水鳥保全戦略の終了にあたって、アジア・太平洋地域の渡り鳥及びその生息地の保全に係る国際協力をさらに強化するため、日本・環境省とオーストラリア・環境遺産省が主導し、WSSDタイプ2パートナーシップ・イニシアティブの側面を充実させる形で、2006年11月に「EAAFパートナーシップ」が新たに発足しました。
  なお、EAAFパートナーシップの発足をもって、水鳥保全戦略は発展的に解消され、シギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の重要生息地ネットワークの参加湿地は、EAAFパートナーシップに基づく新たな重要生息地ネットワークに移行されることになりました(2.EAAFパートナーシップと渡り性水鳥重要生息地ネットワークを参照)日本国内では水鳥保全戦略の下で構築された3種群の重要生息地ネットワークを移行後も維持していきます。

  また、水鳥保全戦略では「アジア・太平洋地域」として「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ(EAAF)」と「中央アジアフライウェイ」を対象地域としてきましたが、本パートナーシップでは、より地域の特色にあった活動を実施するため、対象を「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ(EAAF)」に絞ることとなりました。ただし、中央アジアフライウェイにおける活動とは今後も密に連携をとっていきます。



3)EAAFパートナーシップの概要
<発足について>
2006年11月6日にインドネシア・ボゴールで開催された、「渡り性水鳥、湿地及び地域住民に関する会議」(新パートナーシップ発足式)において規約を採択し、発足しました。
発足にあたり、我が国を含む9ヶ国の政府機関(日本、オーストラリア、アメリカ、韓国、ロシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール及びカンボジア)、ラムサール条約等の関係条約事務局、WI等の国際NGO等16主体がパートナーとして参加しました。


<組織等>
参加主体(2010年3月時点、21主体)
  関係国政府 豪州、日本、米国、ロシア、韓国、インドネシア、シンガポール、フィリピン、カンボジア、中国
  国際機関等 ラムサール条約事務局、ボン条約事務局
  国際NGO等 IUCN、国際湿地保全連合(WI)、WWF、バードライフ・インターナショナル、国際ツル財団、豪州シギ・チドリ類研究会、日本野鳥の会、FAO、英国水禽湿地協会(WWT)

2009年5月に、韓国・インチョン市に国際事務局が設立されました。議長は韓国、副議長は日本が務めています。
パートナーが参加して年1回開催されるパートナー会議において意志決定を行います(組織構成図を参照)


<具体的な活動内容>
水鳥保全戦略の下に構築されたシギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の重要生息地ネットワークを土台として、東アジア・オーストラリア地域に生息するすべての渡り性水鳥を対象とする(3.対象となる渡り性水鳥のリストを参照)重要生息地の国際的なネットワークを構築します(2.EAAFパートナーシップと渡り性水鳥重要生息地ネットワークを参照)
なお、我が国の既存の3種群の重要生息地ネットワーク参加地(27ヶ所)については、本パートナーシップに基づく重要生息地ネットワークに移行しました。日本国内では水鳥保全戦略の下で構築された3種群の重要生息地ネットワークを移行後も維持していきます。
ネットワーク参加地における渡り性水鳥及びその生息地の保全と、持続的な利用に関する普及啓発、調査研究、能力養成、研修活動、情報交換等を推進していきます。














2.EAAFパートナーシップと渡り性水鳥重要生息地ネットワーク

 EAAFパートナーシップでは、水鳥保全戦略に基づくシギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類の3種群の重要生息地ネットワークを土台として、東アジア・オーストラリア地域に生息するすべての渡り性水鳥を対象とする重要生息地の国際的なネットワークを構築します。
 具体的には、渡り性水鳥にとって重要な生息地は、所定の手続により、渡り性水鳥重要生息地ネットワークに参加できる仕組みとなっています。

我が国の水鳥保全戦略に基づく3種群の重要生息地ネットワーク参加地(27ヶ所)については、本パートナーシップに基づく重要生息地ネットワークに移行しました。日本国内では水鳥保全戦略の下で構築された3種群の重要生息地ネットワークを移行後も維持していきます。
東アジア・オーストラリア地域全体の参加地については、現在移行期間中ですが、14カ国・約90カ所が参加する見込みです。
各湿地は「パートナーシップ」に参加するのではなく、パートナーシップに基づく「重要生息地ネットワーク」に参加することになります。







3.対象となる渡り性水鳥のリスト

 EAAFパートナーシップでは、東アジア・オーストラリア地域に生息する渡り性水鳥を広く対象としています。水鳥保全戦略の対象種はシギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類に限られていましたが、本パートナーシップでは、対象を広げたことにより、より多くの渡り鳥にとって重要な生息地の保全に貢献することが期待されています。

東アジア・オーストラリア地域フライウェイにおける渡り性水鳥の分類群
分類群(Taxonomic Group) 和名(英名English Name)
アビ科Gaviidae アビ類(Loons)
カイツブリ科Podicipedidae カイツブリ類(Grebes)
ウ科Phalacrocoracidae ウ類(Cormorants)
ミズナギドリ科Procellarridae ミズナギドリ類(Shearwaters)
ウミツバメ科Oceanitidae(Hydrobatidae) ウミツバメ類(Storm-Petrels)
ペリカン科Pelecanidae ペリカン類(Pelicans)
サギ科Ardeidae サギ類(Herons, Egrets and Bitterns)
コウノトリ科Ciconiidae コウノトリ類(Storks)
トキ科Threskiornithidae トキ類、ヘラサギ類(Ibises and Spoonbills)
カモ科Anatidae

ガン類、カモ類、ハクチョウ類
(Swans, Geese and Ducks)

ツル科Gruidae ツル類(Cranes)
クイナ科Raliidae クイナ類(Rails, Gallinules and Coots)
ヒレアシ科Heliornithidae ヒレアシ類(Finfoots)
レンカク科Jacanidae レンカク類(Jacanas)
ミヤコドリ科Haematopodidae ミヤコドリ類(Oystercatcher)
セイタカシギ科Recurvirostridae

セイタカシギ類、ソリハシセイタカシギ類
(Stilts and Avocet)

ツバメチドリ科Glareolidae ツバメチドリ類(Pratincoles)
チドリ科Charadriidae チドリ類(Plovers)
シギ科Scolopacidae シギ類(Sandpipers)
カモメ科Laridae

カモメ類、アジサシ類、ハサミアジサシ類
(Gulls, Terns and Skimmers)

トウゾクカモメ科Stercorariidae ウゾクカモメ類(Skuas)
ウミスズメ科Alcidae ウミスズメ類(Auks)



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